まるで都市を彩る森林。家族がおおらかに暮らせる工夫がつまった都市型ログハウス

まるで都市を彩る森林。家族がおおらかに暮らせる工夫がつまった都市型ログハウス

敷地は約22坪、建築面積の上限は9坪という、都内の狭小地に建つNさん邸。
「この制約を逆に楽しみながら、小さな2階建てのログハウスを都市の真ん中につくるという、長年の夢を形にしました」と、オーナーである設計士のNさんはいいます。
なかでも一番苦労した点は、建設地が第一種高度地区という、最も厳しい高さ制限でした。
「最初から高さを抑えたデザインにしようと考えていたので、どこまで低くできるかを突き詰めるのに苦労しました」
オーソドックスな切妻屋根で、軒高を極力抑えて、町にとって心地よいと思ってもらえるような佇まいを考えたそうです。
なるべくコンパクトにまとめるために、壁付けのキッチンを採用。造作キッチンのような意匠性もありながら、システムキッチンならではの収納力を備えた、WOOD ONEのキッチンを選びました。
「都市開発が進むなかで木に触れる機会が少なくなる現代だから、都市部でこそログハウスが活きると感じました。都市でログハウスを建てるという選択肢が、もっと広がっていけば嬉しいです」と話すNさん。“小さくても家族みんなが楽しい家”を叶えました。

都内の住宅街にも似合うモダンな総2階建てログハウス

都内の住宅街にも似合うモダンな総2階建てログハウス

ブルーの外観はかねてからの奥様のご希望。インディゴブルーが1、シルバーが9の割合で独自に調色した。
当初はもっと濃い色が良かったというご主人だが、「町も明るくなったような感じがしてとても気に入っています。こういった色決めで家族のコミュニケーションが深まるのも、家づくりの醍醐味ですね」と語る。
建設中にはご近所の方から「通りの先まで木の香りがする」「毎日どんな家になるのか楽しみ」といった声をいただいたという。
「自分の住まいでありながら、町の皆さんにも喜んでいただけたことが、なにより嬉しい経験でした」

落ち着きのあるリビングダイニング

落ち着きのあるリビングダイニング

自分たちにとって生活の中心は食事と考えたというNさん。ダイニングテーブルを建物の中心に据えた。一般的な天井高の2.4mよりも低いものの、2階のくつろぎスペースの開放感と対比させることで、“落ち着き”というポジティブな効果を狙ったそう。
またダイニングや水回り、2階の間仕切り壁には、モイスNTという調湿建材を使用。
「小さな家では、間仕切り壁に厚みのある羽目板を使うと圧迫感が出てしまうので、仕様を変えたいと考えていました。とはいえログハウスは自然素材の家。そのコンセプトから外れないような素材にもしなければと思い、選んだのがこのモイスNT。バーミキュライトや珪藻土などの天然鉱物が配合されていて、調湿や消臭効果もあるので、木に近い特性もありながら、スッキリしたデザインに仕上がると思いました。接着剤を使う必要のない施工方法というのも重要でした」

コンパクトな玄関フロア

コンパクトな玄関フロア

左手の収納スペースには開口を設けているので、ちょっとした忘れ物も靴を脱がずに取れることができる。アーチカット風の収納スペースも、空間のちょっとしたアクセントに

家族みんなが使いやすい独立型の洗面台

コンパクトな家だからこそ、洗面台を脱衣室から独立させることで、いつでも気兼ねなく使えるようにしたという。オープンラックにはパジャマや肌着など、毎日身に付けるものを収納して、脱衣室の中で毎日の身支度が完結できるように工夫した。
洗面鏡とボウルの間には、自然光が入るように小さな明り取りを設けた

最小限におさえたという子供部屋

ベッドと収納だけを設えた、必要最小限の4畳弱の子ども部屋。
「なるべく家族のいる空間で過ごせるようにと、良い意味で“あえて居心地の良くない部屋”にしました」

セカンドリビングになる2階のくつろぎスペース

日当たりの良さと勾配天井の吹き抜けを活かして、リビングに代わるスペースとして使っている。
ここではご主人は楽器を演奏したり、奥様が在宅ワークをしたり、娘さんが床でごろごろしながら絵本を読んだり、時にはプロジェクターを使ってシアタールームとしても使ったり。とにかく多目的に使えるこのスペースを「くつろぎスペース」と呼んでいるのだそう

あえて掃き出し窓にしないことで生まれるちょっとした居場所

通常、バルコニーに出る窓は掃き出し窓を採用することが一般的だが、この窓の下枠は30cmほどあえて床面から上げている。こうすることで窓の前にも物が置けたり、床に座ってもたれかかったり、窓台に腰をかけたりと、ちょっとした居場所になるのだそう。バルコニーに出るときはこの段差をまたいだり、少し頭を下げたりと少々面倒だが、室内の居心地を優先させた。ちょっとしたことでも居場所が生まれる工夫を散りばめることが、小さな家の心地よさに繋がっているという

はしごで登れるロフトスペース

基本的には小屋裏収納だが、ちょっとした居場所にもなるロフトスペース。天井の低いこの空間が、なんとも言いがたい居心地の良さだそう。北側の屋根に設けた天窓が、日中を通して落ち着いた自然光を取り入れてくれる

アウトドアリビングにもなる広々ウッドデッキ

「コンパクトな家だからこそ、外部空間を広めに取ることで、外にも意識が移り、面積以上の広さを感じることができる」とNさん。
テラスの先端に作った低めの手すりは、ベンチの様に使うことができる。「そこに座って、ぼーっとするのがお気に入りの過ごしかたです」

屋根を大きくかけた玄関アプローチ

玄関アプローチから自転車置場まで、しっかりと屋根をかけて雨から守っている。大きく屋根をかけることで外壁の保護にも役立つという。
左からオリーブ、ユーカリポポラス、ブルーベリー、アカシアブルーブッシュを植えた

Loghouse DATA

Urban Style

都市型住宅(特注・N様邸)

延床面積59.62m²
1 F29.81m²
2 F29.81m²
テラス8.87m²
バルコニー4.09m²
建設地東京都
PLAN特注
ログ材フィンランドパインラミネートログ
設計TALO東京

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