建材による放射能の恐怖。

 福島第一原発事故によって改めて放射能の 恐怖を思い知らされた日本ですが、寒冷地であり住宅の気密性が高い北欧諸国では、ラドンによる住居内の放射能の濃度が以前から問題になっていました。ラドンは放射能を持つ気体で、呼吸とともに長時間大量に吸い込むことでα線(※)がDNAを傷つけて肺ガンの危険性が高まります。米国環境保護局と公衆衛生総局による調査でも、7州11000世帯の1/3以上の家庭で、「肺ガンになる危険性が1日10本のタバコを吸うのと同程度」以上のウラン濃度が検出されたそうです。
 住宅内でのラドンの主な発生源はコンクリートや無機建材です。特に気密性が高く換気の少ないコンクリート造の家屋では、自然放射線被曝量が木造住宅の約1・6倍という報告もあり、2009年には世界保健機構(WHO)が屋内ラドンの濃度基準を改定し、欧米ではラドン濃度を規制する法律もできています。ところが、気候風土を無視して気密性が高い住宅が増えている日本で、ラドン濃度が問題になることはほとんどありません。

※α線=アルファ線。物質を透過する能力が低く、薄い紙一枚でも遮蔽することができるが、ガンマ線より20 倍も発がん性が高い。 出典:「木材は環境と健康を守る」(有馬孝禮/産調出版)



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